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どうなる?親なきあとの生活の場~岡山で暮らす障害のある子の未来のために~

親がいなくなった後、障害のある子が生活をしていく場について、相談を受けることがあります。
障害のある子の生活の選択肢として、現在では大きく分けて以下にご紹介する4つの種類があります。

障害のある子の生活の場

本人の障害のタイプや判断能力によって、生活の場の選択肢は変わってきます。
障害があっても、身辺自立ができていればひとり暮らしやグループホームでの生活が考えられます。
入浴や排泄などの日常生活動作にかなり介助が必要であれば、障害者支援施設か、必要としている介助について対応可能なグループホームなどが現実的な選択肢となります。

障害者支援施設

これは、主として昼間から早朝にかけ、食事・入浴・排泄などの日常生活の支援をおこなう場所です。

日中の生活については、同じ敷地内に生活介護などの施設が併設され、そこで活動できるようなサービスが提供されています。
1つの施設の入所者数は数十人から百人程度と、比較的大規模な施設です。

グループホーム

正式には共同生活援助という福祉サービスです。

一般的なスタイルは、4人から6人程度の共同住居で、食事や掃除・洗濯などを世話人と呼ばれるスタッフと入居者が共同でおこないます。
日中は就労の場所に出掛けたり、福祉サービスの施設で活動することになります。

もっとも有力な選択肢と思われるグループホームですが、まだまだ絶対数は足りず、希望すれば必ず入所できるという状況ではありません。
お住まいの地域の最新情報は、ぜひ入手しておくようにしてください。

3)ひとり暮らし

親が生きている間にひとり暮らしを始める方や、親と共に住んでいた家に親なきあとも住み続ける方もいらっしゃいます。
ひとり暮らしの場合は、施設と違い常に世話をしてくれる人がいるわけではないので、日常の生活支援をどうするのかがたいへん重要になってくると思います。

また、今住んでいる家に将来的にも住まわせたいと考えている場合、本人が健康面などの理由でその家に住めなくなった場合の家の処分について悩まれている、子ども本人では処分等ができない、とご相談を受けたことがあります。
この場合は、リバースモーゲージという制度の利用がおすすめです。

リバースモーゲジ制度は、自宅を担保にして銀行などから借金をし、その借金を毎月年金の形で受け取りながら、最終的には担保となっている自宅を手放して借金返済にあてるというものです。
この方法であれば、最後に自宅の処分をするまで、住み続けられることになります。
注意点としては、契約の満期を超えて子が長生きをした場合や、自宅の資産価値が下落した場合などのリスクがあるということです。そのため、慎重に判断する必要があります。
また、この制度を利用するにはあくまで本人が契約者となる必要もあります。

4)きょうだいや親族との生活

親なき後でも、きょうだいがいる場合や世話を頼める親族がいる場合には、きょうだい・親族と生活を続けることになります。
この場合、とりあえずは同居している人にケアをしてもらえますが、いつまでもあてにできるわけではないと考えておいた方が安心です。
同居のきょうだいや親族が年老いた場合など、次のステップを考えておく必要があると思います。

親子がいっしょに住める施設

「できれば支援がある場所で、子どもとずっと一緒に暮らしたい」
障害者の親で、このような思いのある方は多くいらっしゃいます。

富山県を中心に展開されている、共生型グループホームというものがあります。
通常の福祉サービスは、対象者によって法律も違うため、高齢者向け・障害者向け・児童向けと、施設が別々になっているのですが、元看護師3人の方々が「地域はお年寄りも障害者も子どもも一緒にいるところだ」と、みんながいっしょに過ごせる共生型のデイサービスを始めました。
この評判がよかったので、富山県は特区にし、法律の枠にとらわれない福祉サービスを提供できるようになりました。
この施設のいいところは、たとえば高齢者は障害者が苦手な細かい作業を手伝ったり、障害者は高齢者の持てない重い荷物を運んであげたり、お互いに助け合うところで、そうすることでお礼を言ってもらえると、生きがいややりがいも生まれてくるとのことです。

こうした共生型のサービスは、現在デイサービスについては認められるようになりましたが、夜間のサービスであるグループホームにはまだ適用されていません。
ニーズのあるものですので、今後全国的に広がることを期待しています。

その他にも、大分県社会福祉事業団が、親子が同じ施設で暮らせる有料老人ホームを作りました。
4階建てのうち2階は扉を隔てて、半分が高齢者の施設、半分が障害者のグループホームという形です。
こういった施設であれば、部屋は別々となりますが、親と子がスタッフの支援を受けながら、すぐ近くで生活することができます。

また、障害者グループホームを核とした新しいコミュニティが千葉県富津市に建設されました。こちらはグループホーム6棟からなり、3棟は障害者、3棟は共生型シェアハウスとなっていて、障害者の保護者が入居することを想定したものとなっています。

このように、障害者と親の住まいについても、新しい選択肢が増えてきており、こうした施設は、各地で増えつつあります。

障害者支援施設も選択肢の1つ

障害者視線施設、いわゆる入所施設についても、選択肢の1つとして有力です。
グループホームの数が足りていないこともありますが、支援の必要な度合いで、ほんとうに子どもにふさわしいのはどちらなのかを現実に即して判断しなくてはいけません。

ただし、地域移行推進という国の方針があるため今後新しい施設が建設されることはむずかしく、希望してもなかなか入れないという現状があります。
具体的に検討するのであれば、入所可能な施設があるかどうか、あるとしたら場所はどこなのかを調べてみてください。
そして実際にその施設を見学し、職員の方々の話しを聞いて、そこで生活している人たちの雰囲気をご自分で見てみてください。

障害のある子の生活を支える将来

親なきあとに備え、障害のある子の生活の場を探しているうちに、親がなくなってしまうこともあり得ないとは言い切れません。
こうした場合でも、ひとり暮らしが難しい高齢者と同様の対応が、行政によっておこなわれるということは知っておいてください。
親が段取りを組むことはできなくなりますが、子どもの住む場所がなくなるわけではありません。

また、親が元気なうちに子どもがひとり暮らしに移行できた場合などでも、その後、子ども本人が年を重ね、住んでいる場所では十分なケアが受けられなくなった場合には、次の場所に移るということもあります。
現在高齢の知的障害者が入所している場所は、障害者支援施設やグループホーム以外にも、特別養護老人ホームなどがあります。
障害者支援施設から高齢化などの理由により直接移行するか、ある程度の期間を在宅でがんばって生活したあとに、判断能力に応じて日常生活自立支援事業の生活支援員や成年後見人等・ソーシャルワーカーによる支援を受けて、入所になるという流れになります。

法制度はここ数年でも、毎年のように改正があります。
住環境に関する制度や、それにともなう施設の環境は、これからも変化していくものと思われます。
親御さんの年齢によっては、時間的な余裕がないという方もいらっしゃるでしょうが、そうでなければ、あまりあせらずに本当に必要になる時まで、情報収集に徹しておく、という考え方でかまわないと思っています。

ただし、親が急な病気や事故にあった時・子どもも心身の状態が不安定になるなど、突発的なことが起きた時には、すぐに手を打てる状況にしておきましょう。
具体的には、その時点での入所先の候補をリストアップしておいたり、必要な手続きができるように市区町村の福祉担当や社会福祉協議会の連絡先を把握しておくといいでしょう。

子どもと離れて暮らすタイミングについては、子どもも親も、離れて暮らす覚悟ができた時が最適なタイミングだと私は考えます。
グループホームは入所の順番を待っている人も多いため、すぐには入れないだろうと思いとりあえず申し込んでおいたら意外と早く順番が来てしまい慌てた、ということもあるようです。
申し込む際は、ここに住むことになるんだということを本人も納得したうえで進めるのがとても重要です。
ただし、本人の意思はとてもたいせつですが、お子さんが心理的に落ち着かなくなったり、パニックになったりすることは避けたいので、無理のないように進めることも必要です。
親も子も、将来を見据えたイメージをぜひ持っていただきたいと思います。


「自分の死後、子どもは問題なく生きていくことが出来るのか」
そんな多くの親が抱く『親なきあと』への不安も、障害がある子の家族にとってはひときわ大きなものとなります。

『親なきあと』への準備として、何に対し、どんな準備をおこなえばいいのかわからない。

私たち『親なきあと』相談室では、こうした漠然とした悩みを抱えている状況を打破するため、お悩みに対する具体的な課題を明確にするお手伝いをさせていただきます。

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