親なきあとのお金の残し方として、注目されている制度等をご紹介します。
それぞれ仕組みや利点などが異なりますので、現在の金銭状況や障害の程度など、家族の形に合ったものを選んで活用してみてください。
この制度は、障害者の保護者が毎月掛け金を納付することで、障害者に一定額の年金を終身支給するものです。
支給額は加入1口あたり月額2万円となります。
加入時の年度の4月1日時点の年齢:掛け金月額(1口あたり)
※平成20年度以降加入
35歳未満:9,300円
35歳以上40歳未満:11,400円
40歳以上45歳未満:14,300円
45歳以上50歳未満:17,300円
50歳以上55歳未満:18,800円
55歳以上60歳未満:20,700円
60歳以上65歳未満:23,300円
実施主体は各自治体ですが、全国的に統一された仕組みで運営されています。仕組みとしては民間の保険商品とほぼ同じものとなります。
加入者である保護者が65歳になったとき、加入期間が20年以上になったときの、2つの条件を満たした場合、それ以降の掛け金を納める必要がなくなります。
そして加入者が死亡もしくは重度障害となったときから、障害者である子どもに対して終身年金が支給されることになります。
現在の低金利時代における年金保険としては、けっこうお得な条件ではないでしょうか。
もちろん、障害者本人が受け取った年金を誰が管理するのかなど、まさに「親なきあと」問題はついてきますが、子どもの将来の生活の安定のために検討する価値はあると思います。
詳しい内容については、お住まいの市区町村の障害福祉課など、行政の担当窓口にお問い合わせください。
個人型確定拠出年金は、2001年からスタートした制度です。
個人で定期的に掛け金を積み立て、運用して増やしたものを60歳以降に国民年金や厚生年金にプラスして受け取る老後のためのもので、「iDeCo(イデコ)」という愛称で利用が広がっています。
当初は加入できる個人に条件があったのですが、2017年1月から対象者が広がりました。
そしてその対象者の中に、年金保険料の支払いについて法定免除を受けている、障害基礎年金の受給権者も含まれるようになりました。
それによって、何ができるようになったのかというと、たとえば親といっしょに住んでいる年金受給者は、受け取っている年金を現時点ではあまり使っていないという場合があります。
住居費、食べ物や衣料品などはまだ親がめんどうを見てくれていますし、生活費として一定の額を本人の年金から引き出しているとしても、本人の口座にはけっこうなお金が貯まっている、ということも少なからずあるようです。
現在の低金利時代では、ただお金を口座に置いておいてもほとんど増えません。
そこで、この使っていないお金を毎月定額iDeCoの口座に積み立てて、運用して少しでも増やそう、ということができるようになりました。
iDeCoは、さまざまな金融機関で取り扱っています。
ネットだけで申し込めるところも多いですが、現在取引のある銀行などで詳しく話を聞きたいという場合には、いきなり窓口に行っても説明できる担当者がいないことがあるため、事前に連絡しておくといいでしょう。
以前、コラムにも書いた特定贈与信託ですが、通常は贈与できる財産は金銭のみで、不動産は取り扱っていません。
では、現金はあまりないけれど土地は持っているため、これを活用して障害のある子に財産を残したいという場合はどうすればいいでしょうか。
不動産信託を手掛けている『スターツ信託』では、金銭ではなく土地を信託財産とする特定贈与信託の取り扱いをしています。
仕組みとしては、地代収入などといった収益性のある土地を障害者にみなし贈与し、スターツ信託が受託者として管理運営、受益者である障害者には定期的に金銭を給付します。
そのため、財産が不動産のみという場合でも、非課税のメリットを受けながら、信託の機能である定期的な金銭給付をすることができます。
対象となる土地の条件など、注意すべきポイントがありますので、くわしくは直接スターツ信託株式会社にご確認ください。
このように、親なきあとに向けて使える制度は新しく増え続けています。
アンテナを張って、自分たちに合うものを見つけていただきたいと思います。
「自分の死後、子どもは問題なく生きていくことが出来るのか」
そんな多くの親が抱く『親なきあと』への不安も、障害がある子の家族にとってはひときわ大きなものとなります。
『親なきあと』への準備として、何に対し、どんな準備をおこなえばいいのかわからない。
私たち『親なきあと』相談室では、こうした漠然とした悩みを抱えている状況を打破するため、お悩みに対する具体的な課題を明確にするお手伝いをさせていただきます。
まずは下記フォームよりご連絡ください。
ご相談お待ちしております。