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親なきあとに活用したい!信託制度のメリットと注意点

障害のある子の親なきあと、お金を確実に渡す方法として信託制度の利用がおすすめであることをお伝えしました。
今回は、より詳しく信託制度についてお話します。

信託制度を利用したい場合

実際に信託制度を利用したいと考えた方からは、誰に頼めばいいかわからないという声をよく聞きます。

信託銀行や信託会社であれば、業務として取り扱っていますが、それなりの費用が必要であること・信託する財産の額もある程度必要となることがネックと言えます。

例えば家族など、身近な人に受託者を頼めるのであれば、どこか特別な機関に受託する必要はなく、契約書で信託する内容を決めれば事足ります。
ただし、この契約書を誰が作るのか、が悩みどころです。
事例も少なく、一般の人が簡単に作れるものではないことに加え、専門家でもこの知識に精通している人はまだまだ限られた人のみになります。

一般社団法人家族信託普及協会という団体が、家族による信託を広げる活動に取り組んでいますが、一般の方からの相談を直接受けているわけではありません。
相談の内容に対応可能と思われる協会会員の専門家を紹介してくれるため、契約を作成する際にはまず相談を持ちかけてみてはいかがでしょうか。
司法書士など、専門職の法人で積極的に信託契約に取り組んでいるところも増えています。

生命保険の死亡保険金を信託財産に

通常、生命保険の死亡保険金の受取人は基本的に法律上の配偶者または2親等以内の血縁者となります。
また、一定の条件をクリアしていれば婚約者、内縁、事実婚、同性のパートナーも受取人に設定することができますが、いずれにせよ、受取人は個人となります。
『生命保険信託』を利用することで、死亡保険金を信託銀行あるいは信託会社に信託財産として設定することができます。
生命保険信託は、この保険金を受託者である会社が、受益者である障害のある子のために、生活資金や学費として一括もしくは分割で交付する商品になります。

◆生命保険信託取扱い会社

ジェイアイシー FWD富士生命の『みずほ信託銀行』
ソニー生命の『三井住友信託銀行』
第一生命の『みずほ信託銀行』
プルデンシャル生命の『プルデンシャル信託』

生命保険信託は障害のある子を持つ親に限定した商品ではありませんが、多くの保護者から問い合わせや申込が来ているそうです。
信託の仕組みを利用して、子どもにお金を残したいけれど安心して財産を託せる人がいない。なるべく費用は抑えたい。
そんな場合に有効な方法です。

生命保険信託の申込

生命保険信託は通常の生命保険ではありますが、前述でもお伝えした通り、死亡保険金の受け取り方を信託財産として設定できることが特徴です。

生命保険信託として死亡保険をかけた父親が、受取人を障害のある子にしたい場合、申込のときに以下のことを細かく決めていくことになります。

◆父親の死亡後、毎月死亡保険金のうちいくらずつ子どもに給付するのか
◆受取人である子どもがなくなった時にも保険金が残っていたらその残余財産は誰に渡すのか、またはどの団体に寄付するのか
◆受取人に急なお金が必要になった時には信託財産から引き出す指示をする運用指図者を誰にするか

信託銀行の商品

信託銀行や一部の金融機関では、ここまで紹介した信託の機能を持つ商品をそれぞれ親しみやすい商品名で販売しています。

◆主な遺言代用信託商品

みずほ信託銀行の『安心の贈りもの』
三井住友信託銀行の『家族おもいやり信託』
三菱UFJ信託銀行の『ずっと安心信託』

これらの商品の仕組みは、数百万円から三千万円程度の金額を金融期間に預け、あらかじめ決められたタイミング(信託財産として金額を預けた親がなくなった際)などに、決めておいた受益者である子どもに定期的にお金を給付するという仕組みです。
子どもに給付している間に子ども本人がなくなったら、残ったお金をあらかじめ決めておいた次の受益者に渡す仕組みもあるので、寄付などといった形で残ったお金を活用することもできます。

特定贈与信託のメリットと注意点

信託には、特定贈与信託というものもあります。これは障害のある人の親なきあとの生活を安定させるため、家族が金銭などの資産を信託銀行などに信託する、というものです。
受託者にあたる信託銀行などは信託財産を管理し、受益者である障害者に、生活費などを定期的に渡していくことになります。

財産を贈与した場合、通常では年間110万円を超える金額に対して贈与税がかかります。
しかしこの制度を利用すると、特別障害者(重度の心身障害者)の人には6000万円、それ以外の特定障害者(中軽度の知的障害者および障害等級2級、3級の精神障害者)の人には3000万円を限度として、贈与税が非課税となります。
障害のある子に資産を残す際、節税効果と定期給付という一石二鳥の効果が期待できる制度です。

注意したい点は、特定贈与信託を利用するにあたり、障害者の状況によっては成年後見人が必要になる場合があります。
法律で定められた条件ではありませんが、信託銀行が締結の条件であると言えば、それに従う必要があり、成年後見人をつけない場合には契約をあきらめざるを得なくなります。
利用を検討している場合は、この点を信託銀行に確認してください。


「自分の死後、子どもは問題なく生きていくことが出来るのか」
そんな多くの親が抱く『親なきあと』への不安も、障害がある子の家族にとってはひときわ大きなものとなります。

『親なきあと』への準備として、何に対し、どんな準備をおこなえばいいのかわからない。

私たち『親なきあと』相談室では、こうした漠然とした悩みを抱えている状況を打破するため、お悩みに対する具体的な課題を明確にするお手伝いをさせていただきます。

まずは下記フォームよりご連絡ください。
ご相談お待ちしております。

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