親なきあとの支出の中で、特に大きな金額となる可能性が高いのは住居費(住むところの家賃)です。
どのような場所で生活をおこなうのか、また、どの地域で生活を送るのかによって、その金額にはかなりの差が出ます。
支出には定期的・不定期的な支出共に、さまざまな種類がありますが、障害のある人に対して減免措置などがあるものも多いので、支出を少しでも抑えるためには、措置を受けられるよう手続きをしておくことが大切です。
親と離れて住む場合、また、親なきあとの生活の中での障害者本人の住居費について、生活の場のタイプ別にどのくらいの金額がかかるのか説明いたします。
障害者支援施設、いわゆる入所施設は、地域移行を推進する国の方針もあり、今後新しく建設可能性が低いものとなります。
そのため、これからの住まいの場として選択するのはなかなか難しいのですが、費用の考え方はグループホームとの比較において参考になるため、ご紹介させていただきます。
入所施設で暮らしている場合、日中活動の場である生活介護施設と併設されていることが多いです。
この利用料の本人負担分について細かい料金計算がおこなわれているのですが、自己負担額は20歳以上の入所者の場合は少なくとも月額25,000円、障害者基礎年金1級の受給者・60歳以上の人は月額28,000円が手元に残るようになっています。
不足の部分については、不足給付の金額が設定され、施設に支払われているという仕組みです。
このように、障害基礎年金のみの収入でも、最低限のお金は本人の手元に残るようになっているため、年金を受給して施設に入所すれば、お金が足りなくなって施設を出なければいけなくなることは原則的にはありません。
今後の住まいの場として多数派になると思われる、障害者グループホームに入所した場合の月々の支払いはどのようになるでしょうか。
グループホームの料金体験は、基本的には家賃/食費/光熱水費/日用品費などで構成されています。
家賃は施設ごとに異なり、グループホームがある地域の相場の影響も受けるため、都市部と地方ではかなりの差があります。
これらの実費に対して、収入がほぼ障害基礎年金や手当のみの市区町村民税非課税の人は、家賃助成のために月額10,000円を上限として、補助給付と呼ばれるお金が全国統一で支給されます。
この他、地域によって助成の制度が別途用意されている場合もあるため、どんな助成制度があるかしっかりと知ることが大切です。
グループホームの利用料金は、手元に残る金額は多くはないながらも、支出が収入を上回ることがないような仕組みになっています。
多くのグループホームでは、障害基礎年金などの収入で暮らしていける、ということを是非知っておいていただきたいと思います。
ただし、これはあくまでグループホームでの生活における支出の話で、本人の余暇活動など、それ以外の出費は別途必要となります。
また、同じ地域内であっても、グループホームによって家賃が異なることもあり、家賃の相場が同じ地区であっても、自治体が違えば助成金の金額も異なります。
そういったことから、年金と助成金だけでは赤字になるという場合もありますが、障害を持つ子どものこれからの人生何十年間の生活費を親が全て用意しておく必要はない、という事は覚えておいてください。
親なきあとの住まいをどこにするのかを考えておくと、将来に必要なお金もなんとなく見えてくるのではないでしょうか。
アパートなどでひとり暮らしをする場合は、家賃に関する金銭的な給付支援は基本的にはありません。
ただし、保証人がいないなどの理由で一般の賃貸住宅への入居が困難な障害者に対しては、家主などへの相談や入居に必要な支援をおこなう『居住サポート事業』が障害者総合支援法に基づいておこなわれています。
事業の実施主体は、市区町村から委託された指定相談支援事業者などが多いようです。
賃貸住宅にひとり暮らしをする人は、障害の程度も比較的軽く、就労していて収入があるというケースが多いのではないでしょうか。
サポート事業などをしっかりと利用して、地域で自分なりの生活を営んでいただきたいと思います。
このケースの場合、月々の家賃などはかかりませんが、土地や家屋を資産として持つことになりますので、毎年固定資産税がかかってきます。
また、相続した住居がマンションなどの共同住宅であれば、管理費や修繕積立金が必要になります。
こういった管理費などについては公的な支援はなく、すべて本人負担での支払いが必要となってきます。
本人の収入や判断能力などを考えて、毎月の期日までに確実に支払えるようにする準備が必要となります。
管理費などを長期間滞納してしまうと、裁判で訴えられたり資産を差し押さえられるような事態も起こり得ます。
子どもが苦しまないよう、親として必要な準備を検討していただければ、と思います。
「自分の死後、子どもは問題なく生きていくことが出来るのか」
そんな多くの親が抱く『親なきあと』への不安も、障害がある子の家族にとってはひときわ大きなものとなります。
『親なきあと』への準備として、何に対し、どんな準備をおこなえばいいのかわからない。
私たち『親なきあと』相談室では、こうした漠然とした悩みを抱えている状況を打破するため、お悩みに対する具体的な課題を明確にするお手伝いをさせていただきます。
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