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セミナーレポート~親なきあとの遺言書~

2020年2月15日、岡山市きらめきプラザにて「親なきあと」セミナーを開催いたしました。
参加者15名、遠方からの参加者も来られたセミナーとなりました。

まずはセミナー開催前に、一般的な相続についての○☓テストをおこないました。
このテストはよくセミナーで使用するものですが、正解率は5割をいけばいいほう。
相続手続きは、人生に一度あるかないかといったもので、特にご兄弟がいらっしゃったり、女性の方であれば自分が主体になり手続きをする機会は少ないのではないでしょうか。
相続税の申告は亡くなられて10ヶ月以内の手続きが必要ですが、これが伝言ゲームのように伝わり、相続の手続き自体を10ヶ月以内におこなわないといけない、と間違って覚えておられる方も多いようです。

今回は、相続にまつわる知識について、知っておいていただきたい基本的な知識から遺言書の基本までをお伝えさせていただきました。

セミナー内容のご紹介

セミナー内でお話させていただいた内容の、一部をご紹介します。

法的に相続の権利を持つのはだれか

相続や遺言書について考える場合、まずはご自身にとって誰が相続人になるのかを知っておく必要があります。

まず、配偶者が生存している場合には常に相続の権利が発生します。
お子様がいる場合には、お子様が第一順位となり、相続人は、配偶者とお子様となります。
お子様がいない場合、父母が第二順位となり、配偶者と父母が相続人となります。
お子様も父母もいない場合には、被相続人の兄弟が第三順位となり、配偶者と被相続人の兄弟が相続人となります。

遺言書を作成すれば、法定相続人として定められた方以外へ遺産を渡すことが可能となります。

法定相続人が保証されている相続割合について

法定相続人には遺留分と呼ばれる、法定相続分で保証される最低限の相続割合が発生します。

遺言書がある場合でも、この遺留分は相続人の取り分として請求することができます。
但し、あくまでもこの権利は、相続人が請求することにより発生する権利です。
相続人が被相続人の死亡を知ってから1年間、もしくは、死亡から10年間が経過すると時効となり請求できなくなります。

遺言書として残すことができる家族へのメッセージ

遺言書を作成される際に、ご家族や相続人となる方に向けてのメッセージとして、付言事項を記載することができます。
この付言事項には法的効力はありませんが、家族への感謝の言葉のほか、遺言書に記載した配分についての想いなども残すことができます。

例えば遺産配分が不平等である場合にも、なぜその配分になったのか、想いを残すことができます。
配分の少なかった相続人の納得に繋がり、争族が回避される場合がありますので、必ず記載することをお勧めしております。
ただし、遺留分の請求は相続人が持つ権利であるため、遺言書に記載した付言事項の内容が何であれ、その権利をなくすことはできません。

自筆証書遺言書の保管場所が新設されます

2020年7月10日より施行される、自筆証書遺言書の保管制度というものがあります。
公証役場で遺言書を作成する場合、費用や証人の手配が課題となる方も多くいらっしゃいます。
遺言書は自筆での作成も可能ですが、今まで、全て手書きをするのが面倒だという理由の他、書いたあとの保管場所に困るいった理由で作成をおこなえていなかった方も多く、課題となっていました。
これからは、この法務局によって正式に保管をおこなえるようになります。

また、2019年1月に民法が改正され、遺言書に記載する財産目録はワープロでの作成が可能となりました。
従来同様、遺言書の本文は自筆し捺印する必要がありますが、この改正により作成にかかる手間や負担が大きく削減されることとなりました。

保管申請時には、形式的な適合審査はおこなわれますが、開封時の検認が今後は不要となるため、保管場所からの持ち出し後はそのまま相続の手続きをおこなえるようになります。
ただし、個人で遺言書を作成された場合には形式不備や内容が不明確になりがちなので、遺言書として成立せず無効となる場合もあり、注意が必要です。

作成の際には、必ず専門家のチェックを受けることをお勧めします。
当協会では、自筆遺言書作成のコンサルティングを行っておりますので、是非、ご利用ください。

「親なきあと」に向けて遺言書を書くべき3つの理由

今日お伝えさせていただいた中で特に覚えておいていただきたいことは

障害をお持ちのお子様がおられる親は、必ず遺言書を作成してください

ということです。
その理由は3つ。

1・障害をお持ちのお子様が、遺産分割協議の必要がなくなります

遺言書があれば、その内容に沿った遺産の分割がおこなわれるため、遺産分割協議の必要がなくなります。

遺言書がなければ、相続をする人間で遺産分割協議をおこなわなければならず、お子様に意思能力が認められなければ『後見人』をつけ、代わりに遺産分割協議に参加してもらうことになります。
後見人は、遺産分割が終了すれば外せるものでなく、お子様が亡くなるまで後見事務は行われます。
第三者(司法書士、弁護士等)が後見人となれば、長期間報酬が発生しますので、そのようなことにならないよう遺言書を作成することが重要となってきます。

2・障害をお持ちのお子様に、必要な財産を残すことができます

遺言書がなく、『後見人』が遺産分割協議に参加する場合、法定相続割合を考慮した配分をおこなわなければなりません。
これは、後見人の役目は相続人の権利の保護であり、法定相続割合の確保が条件となるためです。

障害をお持ちのお子さんへは、適切なだけの相続をおこなうことが大切であり、多ければいい、というものでもありません。
遺言書を作成すれば、遺留分への留意が必要となりますが、障害をお持ちのお子様に必要なだけの財産を残すことができます

3・『遺言執行者』を指定し、相続手続きの負担を軽減できます

不動産名義変更、銀行預金相続手続き等、『遺言執行者』単独で手続きが可能となります。
このことから、原則、障害をお持ちのお子様の署名・押印などの手続きは不要です。
相続人の事務的な負担を少なくでき、スムーズに相続手続きができるようになります。

また、障害を持つお子様の親がお若い場合には、ひとまず遺言書を書いておく『親心遺言』をおすすめしております。
財産の全てを配偶者に相続させることで、お子様がまだ幼い場合、お子様の財産管理の負担をなくせます。
但し、この遺言書はあくまでも保険的な意味合いとなるため、将来、親の財産形成が行われ、子どもの将来が見通せるようになった場合、遺言書の書き換えが必要となります。

遺言書があれば、遺されたご家族の、相続手続きの負担を大きく減らすことができます。
以上のことから、障害をお持ちのお子様がおられる方の場合には特に、遺言書の作成を強くおすすめしております。

質問コーナー

ご参加いただいた方からの質問と返答を掲載させていただきます。

障害者の子どもの任意後見人に母がなっている状況で、父に相続が発生した場合、任意後見人である母は遺産分割協議に参加できるのでしょうか?

この場合、相続人である母と任意後見人の母とが同じ人となり、母と子どもが利益相反(一方が得すれば一方が損する関係)の関係になります。
このようなケースでは、母が子どもの任意後見人として遺産分割に参加することはできず、任意後見監督人(任意後見人を監督するひと)が子どもに代わり遺産分割協議に参加することになります。
(「任意後見に関する法律」第7条4項)

相続人である子がひとりっ子の場合、遺言書を書く必要は無いのでしょうか?

ひとりっ子の場合であっても、遺言執行者の指定など、相続手続きの負担を軽減させるためにも遺言書の作成をおすすめしております。

配偶者が生存している場合には財産の相続割合についての記載が必要となりますし、相続人がお子様一人になった場合にも、相続手続きを行う遺言執行者の指定をしておくことで、お子様の相続手続き負担を減らせます。

また、障害を持つ子の場合、子どもの状態にもよりますが、子が自ら遺言書作成するのが困難な場合もございます。
そうなると子どもの財産は、国に帰属されることとなります。
この場合、親が自分の財産に信託を設定することにより、お子様が亡くなった際に残った財産をお世話になった支援者、施設に寄付することが可能となります。
これを「福祉型信託」といいます。
こちらは、次回のセミナーでお話する予定となっています。

当協会の遺言書コンサルティングについて 相続対策サポートサービスのご案内

遺言書の作成は、民法、税法のみならず、不動産や金融実務など専門的な知識が必要になります。
相続対策サポートサービスは、ご依頼者様の窓口を岡山相続支援協会に一本化することで、ご依頼者様のご負担を最小限にいたします。
岡山相続支援協会が遺言執行者になることによって、遺言書の内容どおり遺産の分割を確実におこないます。

遺言書の作成に際してのご相談から、遺言書の保管、遺言の執行にいたるまで、責任をもってお引き受けいたします。

サービス概要

ご相談者様のご依頼に基づき、次のサポートをおこないます。

1.遺言書作成全体のコーディネート、進捗の管理
2.相続人の確定
3.相続財産の調査
4.遺言書作成(公証人との調整)のコンサルティング
5.遺言書のご披露と遺言執行者への就任
6.遺言執行の実務(提携先である司法書士等と提携)
7.所得税・相続税などに関わるアドバイス(提携先である柿迫税理士事務所にて)
8.終了報告

当協会では、遺言書作成支援、遺言執行、親心遺言の作成、自筆遺言書作成など、ご依頼者様の状況に合わせたさまざまなサポートサービスをご用意しております。
各種手数料等については、お問い合わせください。

次回セミナー開催のお知らせ

次回、『障がいのある子の「親なきあと」セミナー』のご案内です。

『「親なきあと」の生命保険と信託制度』をテーマとしたセミナーで、遺産の残し方・渡し方について詳しく知りたい方、お悩みの方に特におすすめのセミナーとなっております。

日程:2020年3月28日(土)
時間:13:00~15:00(12:30開場)
会場:きらめきプラザ 704会議室(岡山市北区南方2丁目13-1)
定員:先着20名
参加費:1,500円(当日支払)
主催:一般社団法人 岡山相続支援協会

お申し込みはこちらのページからどうぞ。

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