あるお父さんから、こんな相談を受けました。
19歳、知的障害のある男性を子どもに持たれるお父さんで、このお子さんは契約社員として働きながら約12万円の給料をもらっているとのこと。
20歳の誕生日が近付き、障害基礎年金の申請のためにかかりつけの精神科医に診断書を依頼したところ、次のように言われたそうです。
「そんなに稼いでいるんだったら年金を申請する必要はないでしょう。会社を辞めて収入が減ったら、診断書を書いてあげてもいいですよ」
20歳前の傷病による障害基礎年金には、受給権のある人の所得が一定額を超える場合は支給を停止するという制度があります。
しかし、このお子さんの場合はそれに引っかかるような収入ではありません。
この医師は障害基礎年金を生活保護と勘違いしている可能性もあります。
障害基礎年金の申請時、判断材料としては医師の診断書が大きな比重を占めると言われています。
それだけかかりつけ医は重要ですし、医師が診断書を書かなければ申請もできません。
例えお願いして診断書を書いてもらえたとしても、理解のない医師の診断書では、年金の審査に悪い影響が出てしまう懸念があります。
かかりつけ医に理解がない場合、以下にあげる2つの対策が考えられます。
本人の状況をよく把握して詳しく診断書を書いてくれる医師もいれば、いちばん重要な障害の状態について、2~3行しか書いてくれない医師もいるのが実情です。
これでは、審査をするセンターの認定医の決定にも影響が出てしまうおそれがあります。
かかりつけ医に対しては、障害状態や日常生活・仕事などにおける支障について、できるだけ具体的に説明し、診断書に反映してもらうように働きかけましょう。
また、実際に診察を受けていて医師の態度に不安を感じたら、診断書に書いてほしい内容を口頭で伝えるよりも、親自身が書き出してまとめるほうが確実かもしれません。
本来なら現在通っている病院がベストですが、どうしても不安な場合は他の病院に通院し、そこで診断書を書いてもらうということもできます。
ただし、1回診察を受けただけでは診断書を書いてもらうことは難しく、何回か通院する必要があり、しばらく時間がかかるため早めの決断が必要となります。
20歳の時点で障害基礎年金を申請したけれど、受給できなかったという場合、年金の受給をあきらめてしまう方も多いかもしれません。
決定に納得できないときは、「審査請求」をおこなうことができ、さらに通らなかった場合にも、もう一度「再審査請求」をおこなうことができます。
日本年金機構から通知が届いてから3ヶ月以内に、住んでいる地域の地方厚生局に対しておこないます。
どうして不支給の判断となったのか、理由を考え審査請求書を作成したり、場合によっては追加の資料を提出するなどの工夫が必要となります。
上記の審査請求でも希望が通らなかった場合、2ヶ月以内に厚生労働省内の社会保険審査会に対しておこなうものです。
これとは別に、新たに診断書を作成してもらって請求を一からやり直す『再裁定請求』という方法もあります。
上記の手段をすべておこなった場合でも障害基礎年金を受給できなかった場合、次に取れる手段として『事後重症請求』があります。
これは障害認定日、つまり20歳の段階では障害の程度が年金を受給できる障害基礎年金の等級に該当していなくても、その後状態が悪化し、障害年金の1級や2級に該当した場合に適用される制度です。
知的障害の状態は大きく変化することはあまり考えられませんが、精神的に落ち着かなくなったり、こだわりが強くなったり、二次障害が出るなどして、日常生活の自立度が低くなるといったことは大いにありえます。
そういった場合、この事後重症請求の制度を利用し障害基礎年金を申請すると、受給できる可能性も出てきます。
「自分の死後、子どもは問題なく生きていくことが出来るのか」
そんな多くの親が抱く『親なきあと』への不安も、障害がある子の家族にとってはひときわ大きなものとなります。
『親なきあと』への準備として、何に対し、どんな準備をおこなえばいいのかわからない。
私たち『親なきあと』相談室では、こうした漠然とした悩みを抱えている状況を打破するため、お悩みに対する具体的な課題を明確にするお手伝いをさせていただきます。
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ご相談お待ちしております。