障害者のきょうだいが持つ課題は理解されにくく、あまり表に出ることがありません。しかし、障害者の一生を考えた場合、きょうだいの存在は欠かせません。障害のある方が共に生きるのはきょうだいだけです。親は途中で亡くなりますが、きょうだいは一生です。にもかかわらず、きょうだいに対してあまり日があたらないのは、きょうだいの多くは、我慢強く、声をあげることを避ける性格になってしまっている現状があるのではないでしょうか? 本書には、その「きょうだい」について知ってもらいたいことが書かれています。
「あなたはひとりで何とかしなさい。●●ちゃんは大変なんだから!」
きょうだいは、常に障害のある兄弟姉妹中心の家族で孤独感を感じています。また、親の苦労を見ていることから、自分は我慢しなければならないと思う。その思いから自分が苦しくても親に辛さを言えないという生活を小さい時から送っています。 その結果、我慢強く、意見をしない性格になってしまうようです。
障害のある兄弟姉妹のせいで、虐められたり、親を取られてしまったと思う気持ちから、その兄弟姉妹を嫉妬するようになるケースもあるようです。血のつながった家族は世界中に限られているのに、その家族と絶縁したいと思う悲しいことになる場合もあります。
一つは、同じ悩みを持つきょうだいが交流し、悩んでいるのは自分ひとりではない、他にも同じような人がいる。親には親同士が集まり情報公開ができる場が必要なように、きょうだいにもきょうだい同士が集まり交流できる場が必要です。
もう一つは、障害のあるきょうだいの自立が、健常のきょうだいの支援につながるという意味で、自立のための支援と親の子離れのための支援、将来についての見通しが親ときょうだいで共有できるような支援が必要です。本人の手足変わりに何でもやってやる親もいるようですが、結果的には本人が成長する可能性や自立心を阻害している場合も多くあると思います。
健常のきょうだいにも支援が必要であるということを親も行政も理解することが大切です。
是非、きょうだいを理解する導入書としてお読み頂くことをお勧めします。